仕事の量が多いと、どうすればいいか見えにくいため、手が止まってしまうことがあります。タスクにはそれぞれ取りかかる手間、言い換えると初動負荷があります。この初動負荷は、タスクによって大きかったり小さかったりします。また、どのタスクの初動負荷が大きいと感じるかは、人によっても異なります。中原さんは、自分にとって初動負荷が小さいタスクを選び、そのタスクに集中します。その一方で、自分にとって初動負荷の大きいタスクは、そのタスクを得意とする人に任せます。長く仕事を続けていくためには、このような動き始めとその維持を考慮した仕組みが、重要だといえます。

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羽田野
ほっとくとどっちが強いんですか?
中原
ほっとくと全部めんどくさくなる。ほっとくと仕事しなくなる。いろいろやらないといけない。人ってオーバーフロー気味になると動かなくなる。忙しければ、動いてるときはいいんだけど、やることがいっぱいたまってると、どれから手をつけようかな、まいいやラーメンでも食べてってなるので、そこはシステマチックにやってかなかないと、仕事しなくなる。自分である程度仕事ができるので。家で仕事したり。いろんなものがある。プライベートもそう。仕事の優先順位が下がっちゃう。
羽田野
それを上げるようにしてる。仕組みとして。
中原
なのでオフィスに行ったり。モチベーションを保つためにだったりとか。
羽田野
他にもどうやって動く仕組みを整えてます?
中原
楽しくする。ゲーミフィケーション、ゲームじゃないけど、わかりやすく。ちょっと、自分が楽しいように仕事を持っていく。
羽田野
提案とかもそうですか?
中原
提案とかもそうかな。こういうのやる中でも、いろんなことがちょこちょこあって。お客さんと話すのもそうだし、ドキュメント作るのもそうだし。いろんなタスクが入ってる中で、ドキュメント作るの好きじゃないから、それを誰かに頼むとか。分業で、自分の負担に思うことをやってもらうとか。結構一番時間がかかる。やり始めれば早いんだけど、やるまでが時間かかる。やるまでの時間が短い人にお願いした方がいい。
羽田野
やり始めの時間が短い人もいるわけですもんね。
中原
言ったら、わかりましたってすぐやってくるとか。そういう人の方が、暇だけどなんかない?っていう人の方が言ったらちゃんとやってくれたり。
羽田野
動き始めるまでの初期電力というか動力が違うんですね。
中原
日々いっぱいいっぱいだったらめんどくさくなってくるけど、そろそろ仕事でもしようかなって思ってる人の方が、言ったら頑張るよって。加速が違うというか。
羽田野
待機状態の人の方が加速が早いかもしれない。日々いっぱいいっぱいだったら動力少ないかもしれないし。人のチェックもしているのはマネジャー人格ですね。
中原
人のリソース、その人のモチベーションとか、この人やってくれそうだなとか、この人が好きそうな仕事なにかなとか。
羽田野
好きそうな仕事も、その方が加速が早いとか、やってもらいやすいとか。
中原
若い人が成長するときは、自分が好きじゃないこともいっぱいやった方がいいけど、ある程度の年齢いくと、好きなことやった方が絶対いい。そういう仕事の仕事の仕方の方が長く続く。
羽田野
前はそう思ってなかったですか?
中原
若いときはなんでもやります、遅くまで働きますだったけど、もう家族ができて、プライベートとか仕事以外にもやることができたときに、そんな長い時間働けないし、この先どんどん歳をとると自分の稼働時間がどんどん短くなっていく。その中でさらに稼がなきゃってとき、同じことやってても全然だめだから、どうしようかなって。
羽田野
リソースは限られて、それがどんどん減っていくだろうと。得たいものはあるので、このリソースでもここを得るためには、ここの変換効率が大きい方がいい。で、ここを探している。人のリソースをうまく使っていったり、やらなくてもいいことはやらないとか、遠回りしそうなことはやらないとか。そのためにはあえて失敗することも必要だろうし、時間を管理するとか、仕組みによって自分の役割を変えていくとか。なるべくここにあるリソースを使わないような体制を整えていって、本当に必要なものに使っていく。そんな流れでしょうか。
中原
うん、そうだね。全然専門的なことじゃなかったけど、大丈夫だった?
羽田野
大丈夫ですよ。最初のころに気にしてていま気にしなくなったことってあります?
中原
最初のときよりも、ちゃんとお客さんに迷惑をかけられるようになった。人に力を借りれるようになった。
羽田野
最初のころは?
中原
最初は全部自分でやろうとおもって一人一所懸命頑張ったけど、一人だと限界があるから、助けてとか、これやってとか。あとは、お客さんとのやりとりで、ある程度、あえてお客さんとのコミュニケーションをとらなかったりとか。コミュニケーションの幅?ここまでやっちゃうとダメだけど、ここまでだったら許してくれるだろうって図太さが出てきた。
羽田野
大丈夫なところとダメなところをギリギリでみるように。
中原
このまま全部仕事してたら死ぬでしょって。忙しくて無理だけど、でもこのくらいはちょっとぐらい遅れてもいいよねとか、あんまよくないんだけど。心配して電話かけてくるけど、どうでもいい電話も多いのね。だから出なかったりとか。
羽田野
選別するように。前は全部対応していた。
中原
図太くなったというか、肝が据わったというか。死にはしないでしょっていうのは、前よりもちょっと。いいことか悪いことかはわからないけど、そうでもしないと会社経営は無理だと思う。
羽田野
これもここの無駄をなくしていく上で必要なことなんですね。ありがとうございました。