アカギさんに、花火師が花火を学ぶプロセスと、その中の負荷についてお話を伺いました。2回目は、花火の玉を「準備する→打ち上げる→省察する」プロセスです。そこから、見て学ぶ学習では、「爆発の振動と最適な留め具の組み合わせ」のような具体的なものにフォーカスすることが重要、という点がわかります。

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羽田野
作るのよりも上げる方に。
アカギ
メインですね。
羽田野
打ち上げはどういうプロセスで進んでいきますか?
アカギ
まず玉の用意から始まって、玉を全部作ったら、あとは、筒。
筒の準備。玉と同じだけの筒がいるので。あと資材が結構いるので。
上げ方にも色々あって、普通に筒の中に入れるのと。
水中花火っていって海に向かってやる奴とか、地雷っていって、現場の地面の上に置いておくやつとか、フラッシュっていってトーチみたいに光るやつとか、色々ある。
それに必要な台とか、いろんなものをまず用意して。全部トラックに積み込んで、現場に行って、荷物をおろして、設計図があるので、どういうふうに配置するかって。
設計図に従って、筒を配っていったりとか、資材をおろしていって、そのセットが全部終わったら、今度は玉を込める。で玉を込め終わったら、打ち上げ方、今は大体コンピューター使ってやるので、配線をして。配線が終わったら、全部電気が通っているかのテストをして、で、消防の立ち入りがあるので、消防さんと挨拶して。で、後はボタンを押す。ポンと。
羽田野
このプログラミングは別の人が別の所で?
アカギ
の場合もあるし、自分が作る場合もあるし。
羽田野
プログラミングは事前にやっている。玉と筒の用意も。前の段階でやるものがあって、現場でやるものがあって。これって、たぶん現場でやるものと前でやるものとそれぞれ大変な部分もあるんだろうなと思うんですが、たとえばプログラミングは玉を込める人、打合上げる人がやるんですか?
アカギ
できる人がやる。できない人はやんない。
羽田野
すごく難しいんですか?
アカギ
ソフトウェアであるんですよ。だいたい音楽花火でやる場合が多いんで、音の波形と打ち上げのタイミングをキューを入れていくわけです
羽田野
音楽に合わせて打ち上げる。ソフトに合わせて。
アカギ
そこに点火ポイントを入れていってあげる
羽田野
打ち上げ全体をどうするかっていうのは、プロデュ−スする人が考えるんですか?
アカギ
曲はねー、大体社長の好み。そこは譲らなかった。
羽田野
じゃ曲は選択権はなかったんですね。それに対してどういう花火を作ってっていうのはどういうふうに?
アカギ
それはプロデュースの人がやる。ディレクターというのかな。
羽田野
その人が、花火を一つの作品とした場合に、全体の作品を、どういうタイミングでどの花火ってして、花火師が作っていって。実際に玉ができて、筒の種類も色々ある。
アカギ
筒も色々合ってね、大体ちっちゃいので2インチ。3尺とか4尺とかまで。2.5号、3.5号、4号、8、10。10号が1尺。
羽田野
これもプロデュースにそって、筒、資材を準備する。上げ方も色々で、必要な台を。
アカギ
台ってあのー、斜めに打ち上げる時とかは、枠作って、そこに斜めに置く台とか、地上で爆破させる時には、あんまり横に飛び散らないように囲うやつとか、キャンドル指すやつとか
羽田野
筒もあるし、上げ方によって土台の種類も違うし。この配置とかも、プロデューサーやディレクターがやるんですか?
アカギ
これはね、大体の感覚でやっちゃってる。職人さんの。
羽田野
こういうのならこうだろうって感覚が職人さんの中にあるんですね。
アカギ
うん
羽田野
その感覚ってどういうふうにできていくんでしょう?
アカギ
現場で作業しながら、皆がやるのを見て、「こういうときはこういう風に置くんだ」とか。
羽田野
自分の作業をしているけど、他の人のも見ながら、花火の筒とか上げ方によって、こういう置き方するんだって。
アカギ
縛るのも色んなのがある。インシュロックもあるし、藁で縛るのもあるし。
羽田野
藁もある
アカギ
藁のほうが丈夫で、藁を濡らして切って縛るとか。拘束帯みたいなもあるし、その時々の縛り方があるので、それも見ながら
羽田野
それって見ながらでもわかりますか?種類がすごくたくさんありそうで、正しい組み合わせがあるはず。例えば、インシュロックで4尺とか無理でしょうし。そういうのって、どのくらいでわかるんですか?
アカギ
でも3ヶ月くらいでわかる。打ってるすぐ側にいるから。例えば、3号だとこれくらいの大きさなんですよ。これくらいの大きさの筒と火薬量だと、どれくらいの振動があるんだろうなって目の前で見ててわかるので。この振動だとインシュロックだとだめだろうとか。