アカギさんに、花火師が花火を学ぶプロセスと、その中の負荷についてお話を伺いました。5回目は、計画と準備の関係についてです。このプロセスでは、現場で起こることを事前に考えておきつつ、色々な変動性も考慮して、完璧な計画ではなく最適な計画を準備することの重要が示されています。何が最適かを、準備後にフィードバックすることも、同様に重要と言えます。

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羽田野
こういう作業の中で、同時多発的に割り込んできたり、想像してたのと違う順番になったときは、忘れることもあるかもしれない。キャパシティオーバーみたいになることもありますか?準備の段階で。
アカギ
作業が一杯あるってのはあるけど、キャパシティ的には特にはならない。
羽田野
たくさんあっても、自分の頭の許容量を超えているとかはならないんですね。
アカギ
体力の限界ってのはあるけど。
羽田野
工事や建設の現場作業に近いですよね。部材資材があって、それを組んでいくって。あまり頭の中で処理出来ないほどたくさん考えるってのはないんですかね。
アカギ
そういうのは前もって全部考えてくるから。あとはもうなんかあったら間引いちゃうしかないし、その場でなんとかしないといけないから。キャパシティオーバーにはならない。
羽田野
現場でってことはあまりないんですかね。
アカギ
現場でもあるんですけど。計画通りに行かないことも多いから。まぁ現場でなんとかなっちゃうだろうっていう。
羽田野
計画通りに行かないことが前提
アカギ
前提ではないけど、だいたいそうなっちゃうから、その場で対応していく感じ。
羽田野
そうなっちゃうことも含めて事前の計画で考えていたりしますか?その場で起こったことに対して。
アカギ
計画立ててる段階では完璧に行くだろうって思っているけど、上手くいかない。
羽田野
それを帰りのトラックで考えたりするんですか?
アカギ
そうそう。誰々が忘れたって。
羽田野
それを繰り返していくと、計画通りにいくのが増えていきます?それとも変動性が大きくて難しいですか?
アカギ
現場現場で担当が変わっちゃったりするから、忘れ物チェックリストとかあるんですけど、必ずやるかっていったらやんないとか、なんかしら起きるので、完璧にって言うのは難しいんでしょうね。
羽田野
これが出来ないと、こっちの現場での対応はできないので。ここが出来る人たちと一緒に行けば、早く終わる。
アカギ
省略しなくて済むように、事前に準備をしておく。
設計図を細かく全部、配置の場所の間隔だとか、角度だとか、エフェクトの重ね方だとか、全部細かく設計図を作ったら、まぁみんなが見てわかるので大丈夫なんですけど、これをやるのもめんどくせーから、ほんとに最低限のしかだいたい作らない。
羽田野
ここに労力をかけるのか。一夏で30箇所やるとしたら、設計図の準備はするけど、最低限必要なことを準備して、あとは現場の状況といる人でやる。最終的には3分前で仕上げてスタートする。これで完了って判断は、現場責任者ですか?
アカギ
最終的に導通をやるので。終わった時点でそれをやって、チェックできたらおしまい。
羽田野
電気工事みたいですね。最終的に導通通ってないとダメなんですもんね。
アカギ
それで終わり。あとはポンって押したらボーンってなっていく。自動的に。
羽田野
花火師の分業。込めてる人が全部やってるわけじゃない。
実際のところ、打ち上げのプロセスってイメージ出来なかったので、面白かったです。どうやって飛んでいるのかわからなかったけど、そういう仕組かと。意外なとこで工事って側面。
現場監督、職人がいて、決められた時間で、仕様の通り動くように、上がらないといけない。
そういう点で、プロジェクトマネジメント的な要素があって、計画、現場でのことが大事。特に、同時処理をしなければいけなくなったときにどう準備しているのかってことが大きなウェイトを締めるんだろうし。
対応した引き出しの中で良かったものとそうじゃないものを整理していくことが、大事なんだろうなって。
帰りのトラックは大事ですね。やったことのフィードバックを自分がする。
それが、頭へ負荷がかかる中で、必要な作業をするために重要。
学習が明示的じゃなくても進んでいっているってのがわかりました。
出来ない人は、やって終わってそのまんまだと。
アカギ
自分で作ったもの見てないし、考えてないし、たぶんイメージが出来てない。
羽田野
プロセスと、その結果のひも付け大事。どうつながりやすいかを把握することが、次の予測精度に影響。玉は試しに作って上げるとかできないわけだから、そこをどれくらい鮮明に考えるかが重要だし、上達するかの違いになる。