一言でいうと
- 競技課題の全体的な工程や、各工程内での工程などの複雑さです。2つに分かれます。
- 1つは客観的な工程の複雑さです。誰が見ても複雑だと感じる内容のことです。例えば、3つの工程があるとして、1つの工程で完成させたものが次の工程の作業に影響する場合と、3つ全部が独立していてお互いに影響しない場合とでは、前者の方が複雑さは高くなります。
- もう1つは主観的な要素の複雑さです。人によって複雑さの感じ方が変わるもののことです。例えば、1つの工程を終わらせてから次の工程に取り掛かる人と、3つの工程を可能な限り同時に行う人を比べた場合、後者の方が「複雑だ」と感じます。
何が負荷になるのか?
- 工程の複雑さが多いと、ワーキングメモリ量を多く消費します
- 人が一度に覚えておける量(短期記憶)はおよそ7つと言われています
- これが、何か作業しながら覚えておける量(ワーキングメモリ)となると4〜5になると言われています
- 工程の複雑さが多いほど、技能者が覚えておかなければならない情報の量や、マルチ・タスクの量が増えます。
- また、複雑なもの程高い精度が必要なので、強く集中し続ける必要があります。
- その結果、ワーキングメモリに大きな負荷がかかります。
- 負荷が限界を超えると、忘れたり、やり間違ったりが、増えてしまいます
初心者と熟練者の違いは?
初心者
初心者は、あまり複雑ではない工程でも、ワーキングメモリが圧迫され、忘れてしまったり、やり間違えたりします。なぜなら、その分野の知識(領域固有知識)や、その知識を入れておく引き出し(スキーマ)がまだ未熟です。そのため、あまり複雑な要素を頭に入れておくことができないからです。
熟練者
熟練者は複雑な工程でも、ワーキングメモリがあまり圧迫されず、速く正確な作業が可能となります。
なぜなら、その分野の知識(領域固有知識)や、その知識を入れておく引き出し(スキーマ)が発達していて、複雑な工程を1つのパターンに単純化したり、既に持っている知識を利用して作業できるからです。
日常ではどんな場面で起こる?
ドラマや小説で、時代をまたいだり、複数の登場人物の視点に切り替わったりするものがあります。時代設定が変わったり、視点が切り替わったりすると、「この時代はいつなんだっけ?」とか、「この人物は誰だっけ?」といった物語の流れを追って思い出さなければならないので、複雑になります。
一方で、同じ時代、同じ人物の視点で進むものは、そういった切替が必要ないので、あまり理解に困りません。
仕事に置き換えると、プロジェクトやものづくりで複数のタスクが同時に進んでいて、それぞれの締切が同じような時期にある場合などが当てはまります。
チェックの仕方
自分が何かの作業やタスクに取り組んだ時を振り返ります。
そしてこの認知負荷を、
「1.少ない~5.多い」の5段階で回答します。