技能五輪の本番などで、特に時間負荷の高まる終盤に、本来であればもう少し時間をかけても良い、あるいはかけた方がよい作業で、普段よりも早くなって、その結果ミスや忘れが生じる。
この際に作業者が感じる「早く終わりたい」「早く終わらせたい」という欲求を、ショートカット欲求と言う。
「道迷い遭難」では、天候悪化などで「早く下山したい」「早くルートを終えたい」といった欲求が働きやすい状況で、通るべきルートとは違うルートを選択し、工程をショートカットすることが、かえって状況を悪化させることに繋がる描写が散見される。
その時は冷静で適切な判断をしているつもりだが、後から検証すると、確証バイアスなどが働いていると考えられる。
こうしたショートカット欲求が、自分の場合はどのような場面で生まれ、それがどんな影響を持つか理解し、対策を立てておく事が重要。
羽根田治著. (2015) “道迷い遭難”. ヤマケイ文庫, 東京.