花火師アカギ(仮名) | 2 玉と筒と台の最適なマッチング

アカギさんに、花火師が花火を学ぶプロセスと、その中の負荷についてお話を伺いました。2回目は、花火の玉を「準備する→打ち上げる→省察する」プロセスです。そこから、見て学ぶ学習では、「爆発の振動と最適な留め具の組み合わせ」のような具体的なものにフォーカスすることが重要、という点がわかります。

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組んでる段階で、いかに鮮明にイメージできるかが、やりたいことを実現するのにつながってくるんですね。複雑なものを作る場合、上げてみないとわからず、上げた時に複雑なものになっていないこともあり得ると思うのですが、複雑なものは、どのくらい見えているのでしょう。例えば、均等に放射線状に上がる場合と、複雑な形で上がる場合では、イメージの鮮度や精度が違うのかなと思うんです。

花火師でも作る人と上げる人がいて、基本的には私上げる人なので、玉自体は作ったことないんですけど、芯がいっぱいある八重芯だとかは、丸いのを重ねていくんですね。それがバーンって放射線状に均等に左右上下に開くんです。その芯をどれだけ多くするのかっていうのと。あとは文字作ったり、型物(カタモノ)っていってドラえもんとかキティちゃんとか。そういうのは、結構めんどくさいですね。

打ち上げはどういうプロセスで進んでいきますか?

まず玉の用意から始まって、玉を全部作ったら、あとは筒の準備。玉と同じだけの筒がいるので。あと資材が結構いる。上げ方にも色々あって、普通に筒の中に入れるのとか、水中花火っていって海に向かってやる奴とか、地雷っていって、現場の地面の上に置いておくやつとか、フラッシュっていってトーチみたいに光るやつとかがある。それらに必要な台とかをまず用意して、全部トラックに積み込んで、現場に行って、荷物をおろす。どういうふうに配置するかって設計図があるので、設計図に従って、筒を配っていったり、資材をおろしていって、そのセットが全部終わったら、今度は玉を込める。で、玉を込め終わったら、打ち上げ。今は大体コンピュータを使ってやるので、配線をして、配線が終わったら、全部電気が通っているかのテストをする。その後、消防の立ち入りがあるので、消防さんと挨拶する。後はボタンを押す。ポンと。

事前に玉と筒を用意し、プログラミングもしてある。前の段階でやるものがあって、現場でやるものがある。これって、それぞれ大変な部分もあるんだろうなと思うのですが、例えば、プログラミングは玉を込める人、打合上げる人がやるんですか?

できる人がやる。できない人はやんない。

どのくらい難しいんですか?

ソフトウェアであるんですよ。だいたい音楽花火でやる場合が多いんで、音の波形と打ち上げのタイミングをキューを入れていくわけです

ソフトで、音楽に合わせて打ち上げる。

そこに点火ポイントを入れていってあげる。

曲とか、打ち上げ全体をどうするかっていうのは、プロデュ−スする人が考えるんですか?

曲はねー、大体社長の好み。そこは譲らなかった。

曲に対してどういう花火を作るかは、どういうふうに決まるんですか?

それはディレクターがやる。

花火を一つの作品とした場合に、ディレクターが、全体の作品を考えて、どういうタイミングでどの花火を点火するか決める。そして花火師が作っていって、実際に玉ができる。

筒も色々あってね、大体ちっちゃいので2インチ。3尺とか4尺とかまで。2.5号、3.5号、4号、8号、10号(直径約30cm)とある。

これもディレクターのプロデュースにそって、筒、資材を準備するんですね。上げ方も色々で、必要な台を準備する。

台は、斜めに打ち上げる時とかは、枠を作って、そこに斜めに置くとか。地上で爆破させる時には、あんまり横に飛び散らないように囲うやつとか、キャンドル挿すやつとか。

筒もあるし、上げ方によって土台の種類も違うし。この配置とかも、ディレクターがやるんですか?

これはね、大体の感覚でやっちゃってる。職人さんの。

そういう感覚が職人さんの中にあるんですね。

うん。

その感覚ってどういうふうにできていくんでしょうか?

現場で作業しながら、皆がやるのを見て、「こういうときはこういうふうに置くんだ」とか。

自分の作業をしているけど、他の人のも見ながら、花火の筒とか上げ方によって、こういう置き方するんだって。

縛るのも色んなのがある。インシュロックもあるし、藁で縛るのもあるし。

藁もある。

藁の方が丈夫で、藁を濡らして切って縛るとか。拘束帯みたいなのもあるし、その時々の縛り方があるので、それも見ながら。

それって見ながらでもわかりますか?種類がすごくたくさんあると思いますが、その中には正しい組み合わせがあるはず。例えば、インシュロックで4尺とか無理でしょうし。そういうのって、どのくらいでわかるんですか?

でも3ヶ月くらいでわかるよ。打ってるすぐ側にいるから。例えば、3号だとこれくらい(直径約9cm)の大きさなんですよ。これくらいの大きさの筒と火薬量だと、どれくらいの振動があるんだろうなって目の前で見ててわかるので。この振動だとインシュロックだとだめだろうとか。

振動が一つの手がかりになっているんですね。

手がかり。爆発の感じの。

爆発の感じはその場にいないとわからないですね。すごいよって言われても、言葉ではイメージできない。一回爆発を経験すれば、すごいなって感じる。