用語の整理:ショートカット欲求

技能五輪の本番などで、特に時間負荷の高まる終盤に、本来であればもう少し時間をかけても良い、あるいはかけた方がよい作業で、普段よりも早くなって、その結果ミスや忘れが生じる。

この際に作業者が感じる「早く終わりたい」「早く終わらせたい」という欲求を、ショートカット欲求と言う。

「道迷い遭難」では、天候悪化などで「早く下山したい」「早くルートを終えたい」といった欲求が働きやすい状況で、通るべきルートとは違うルートを選択し、工程をショートカットすることが、かえって状況を悪化させることに繋がる描写が散見される。

その時は冷静で適切な判断をしているつもりだが、後から検証すると、確証バイアスなどが働いていると考えられる。

こうしたショートカット欲求が、自分の場合はどのような場面で生まれ、それがどんな影響を持つか理解し、対策を立てておく事が重要。

羽根田治著. (2015) “道迷い遭難”. ヤマケイ文庫, 東京.

用語の整理:目的のある練習の4つのポイント

アンダース・エリクソンの提唱する限界的練習において、練習が目的を持って行われるために必要な4つのポイントは以下の通り。

1.目的のある練習には、はっきりと定義された具体的な目標がある。

2.目的のある練習は集中して行う

3.目的のある練習にはフィードバックが不可欠

4.目的のある練習には、コンフォート・ゾーンから飛び出すことが重要

日頃の訓練がこの4つのポイントを満たしているか、指導者と学習者がお互いに情報交換しながらアセスメントする。効果の低い練習に費やす時間を減らし、上達に最適な訓練を意識的に続けるための、重要なチェック要素。

■出典
アンダース・エリクソン, ロバート・プール著. 土方奈美訳. (2016) “PEAK 超一流になるのは才能か努力か”. pp44-48, 文藝春秋, 東京.

フィードバックは明示的か?

電灯のスイッチを入れれば、点灯します。この場合、「スイッチを入れる」という行動に対するフィードバックは「点灯する」で、誰が見てもわかるような明示的なものです。もちろん、「点灯しない」なら、それも行動に対するフィードバックです。点灯すれば、「スイッチを入れる」という行動が正しかったことがわかります。点灯しなければ、間違って別のスイッチを入れていたかもしれませんから、行動が正しくないかもしれないということがわかります。

では、この電灯が、赤外線で発光するものだったら、どうでしょうか。

あるいは、スイッチを入れてから10分後に点灯するものだったら、どうでしょうか。

前者の場合、点灯したかどうか、つまりフィードバックが、肉眼では見えません。なので、フィードバックを肉眼以外の方法で確かめる必要があります。

後者の場合、フィードバックは見えますが、時間的がかかるため、その間にスイッチを入れたことを忘れる可能性があります。なので、10分後に忘れず確認する必要があります。

何かの行動を起こした時、それが期待した通りになったかどうかを、確認する必要があります。フィードバックはその手がかりとなりますが、日常的に、フィードバックが必ずしもすぐに、目に見える形で得られるとは限りません。

なので、自分が学ぶ立場であれば、見えない中からフィードバックを意識的に探す、あるいは忘れずに行動とつなげることが重要でしょう。また、教える立場ではれば、自分にとって明示的なフィードバックが相手にとって見えにくい可能性があること、相手がやってからフィードバックを得るまで時間があるほど忘れやすくなる可能性があることを踏まえて、フィードバックを使っていくことが重要でしょう。