アカギさんに、花火師が花火を学ぶプロセスと、その中の負荷についてお話を伺いました。3回目も、花火の玉を「準備する→打ち上げる→省察する」プロセス です。そこから、たくさんのフィードバックを、設計や準備などのやったこととつなげる場面があることの重要性が、示されました。

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羽田野
振動が一つの手がかりになっているんですね。
アカギ
手がかり。爆発の感じの。
羽田野
爆発の感じはその場にいないとわからないですね。すごいよって言われても、言葉ではイメージできない。一回爆発を経験すれば、すごいなって感じる。この3ヶ月で何発くらい上げたんですか?
アカギ
発数?
羽田野
数えてるわけじゃないと思うのでざっくりで構わないんですけど。
アカギ
ある場所で2万発打ってた。あれくらいの大きさのが一夏何十箇所あるのかな?
羽田野
少なくとも一箇所では2万発。
アカギ
これ結構大きな場合。少ないところだと2000発とか。それを30箇所くらいやりますね。
羽田野
1、2回ってレベルじゃないんですね。これだけやってると、すごい情報が蓄積されていきそうですね。2万は多くて2千が少ない。例えば平均5000としたって、30箇所だと15万発打ってるんですよね。それだけフィードバックがあって、それをつなげることも大事ですね。
アカギ
帰りのトラックの中で、あそこはこうやっときゃよかったなとか。
羽田野
やっておけばよかった、やったことと結果のリンクを、その都度作っていく。帰りのトラックの中で。
アカギ
なんだありゃって。筒っぱねしちゃったって
羽田野
筒っぱね?
アカギ
花火が筒で爆発したとき、上にあがらないのを筒っぱねっていう。ファイバーの筒だったりすると、下で花火が爆発しちゃって。普通は導火線に火がついて、上に行ってからあがるんですけど。何かの加減で、中に火が入っちゃうことがあるんですよ。そうすると直接そこでバーンって。
羽田野
危ないですね。ここで火薬があって、バーンてなって打ち上げられる。導火線に火がついて、チリりりとなって、上でバーン。ところが、ここで直接バーン。
アカギ
そういう時は、結局は加工の仕方がダメだったり。導火線に着火剤とかつけたりするんだけど、そういうときにカッターで切りすぎちゃったりとかすると、そうなる。
羽田野
花火師さんは、そういうことを失敗を通して学んでいく。
アカギ
ですねー。だからたまに死ぬ。死なないようにするんですけどね、通常は。
羽田野
火薬ってどのくらい危ないんですか?
アカギ
結構危ないですよ。鼻くそみたいなちっちゃい火薬が黒色火薬っていうんだけど、一つでピストルの弾が飛んでく。それが、3号で250gかな。一尺上げるんだったら、1キロまではいかないけど、700gくらいまでいくかな?
羽田野
大砲が飛ぶくらい?上に向かって平和に飛んでいるっていう点で大砲とは違うんでしょうが、飛ばす原理は一緒ですもんね。筒の使い方、土台の使い方がわかっていく部分がある。設計図は描いたりしないんですね。
アカギ
配置の設計図と玉の組み合わせの設計図は作るんです。
羽田野
組み合わせっていうのは筒と玉の?
アカギ
じゃなくって、上がるイメージ図。こんな感じで上がりますって。角度とかの。
羽田野
その設計図にもとづいて、実際に配置する。その配置は職人さんの感覚で。大きな地図はあって、現場でどうするかは現場で判断する。
アカギ
職人さんが。