昔は質問紙法といいましたが、今は紙を使わずWebで実施することも増えたので、この呼び方はどうなるのか謎です。英語ではQuestionnaire methodであり、日本語訳するとアンケート法となります。この記事ではこれに従い、アンケート法と呼ぶことにします。

アンケート法とは?

調査の対象者が考えていること、感じていること、やっていることなどについて調査者が設問を作成し、それらを対象となる人たちに回答してもらうことで、その思考や態度、心理状態などについてデータを得る方法です。様々な場面で活用されており、例えば市民調査、市場調査、教育機関での評価、医療研究などで用いられます。

日常の中にも色々なアンケートがあります。例えば飲食店のチェーン店にはアンケート用紙が置いてありますし、Webで何かのサービスを利用しているとランダムでアンケートの回答を依頼されることもあります。

技能訓練の場でも、訓練についての意識や態度、要望に関するアンケートや、研修後の感想を求めるアンケートなど、本当に色々なアンケートに出会います。

アンケートの回答方法と種類

アンケートは回答方法別に自由記述法、多肢選択法、順位法、評定法の4つの種類があります。

1.自由記述法は、設問に対して回答者に自由に記述してもらう方法です。

2.多肢選択法は、調査者があらかじめ設定した選択肢から、回答者が自分に当てはまるものを選ぶことで回答する方法です。

3.順位法は、調査者が用意した項目に対して順位をつけることで、回答者の意識を回答する方法です。

4.評定法は、設問に対して例えば1~5の当てはまる数を選ぶなど、いくつかの段階を設定してその中から選ぶ方法です。

上記の4つの方法に加えて、設問はどの範囲をターゲットにするのか、つまり設問の想定範囲も、大きく分けると2種類あります。

1つ目は広い範囲の質問です。

例えば、「この研修の感想を書いてください」のような質問です。感想という言葉から何をイメージするかは、人によって様々です。単に良かった、良くなかったといった漠然とした印象を書く人もいれば、ここが良かったと具体例をあげたり、こういう理由で良かったと根拠をあげて書く人もいます。

もう一つは、範囲を絞った質問です。

例えば「この研修の感想を具体例をあげて3つ書いてください」のような質問です。「具体例」という書き方や、「3つ」という個数の指定がありますので、回答者は単に「良かった」「良くなかった」だけでなく、その具体例を複数あげて書く可能性が上がります。ただ、ちょっと突っ込んだ書き方です。このグイグイくる感じは「侵襲性」と呼ばれ、人によっては反感を持ちます。気軽に書けないので、書かない人も増える可能性があります。その一方で、研修の強みや改善点を具体的に知りたい場合、単に「良かった」などよりも有益な情報をえられます。

アンケート項目の信頼性と妥当性

アンケート法は簡単に実施できるように見えます。その場で思いついた項目をそのまま使っても実施できてしまいます。でもそれで期待するような回答がえられるかというと、そうでもありません。適当に作った項目は曖昧でわかりにくかったり、何通りにも解釈できたりするため、回答も適当にならざるを得ません。そうした点を考慮せず、「アンケートは適当に回答されるから意味がない」ととらえるのは、もったいない捉え方です。

そこで重要となるのがアンケート項目の信頼性と妥当性です(この外部サイトの記事が詳しく解説しています)。

例えば、心理学の学術調査で使うアンケート項目は、信頼性や妥当性を確保するためにかなり手間をかけて作成します。具体的には、インタビューや予備調査を何度も繰り返し、さらに先行研究との関係性も統計的に分析し、「こういうものを測定したいが、たしかに測定できそうだ」妥当性を確かめた上で実施します。これを妥当性といいます。また、測定したい項目が一貫して同じ内容を測定できているかも確かめます。これを信頼性といいます。

項目作成の一例を挙げると、代表者の羽田野が過去に実施したコンダクト・スキルの調査では以下の手順で項目を作成しました。

  1. インタビュー調査及び文献調査を行い、予備項目を作成
  2. 予備項目を用いたアンケート調査を実施
  3. 予備項目の回答を分析し、本調査の項目プールを100程度作成
  4. 項目プール内の全項目について、具体的な場面、解釈、回答の可能性を共同研究者とともに検討
  5. 項目プールを60程度に絞り込み
  6. 調査対象の分野の専門家に項目の可読性、解釈の可能性、回答の容易さ、項目数などの検討を依頼
  7. 調査を実施

項目作成に手間と時間をかけた方が、得たいデータを得られる可能性はあがります。しかし日常の業務で必要なデータを集めるためなどの場合、そもそも時間がないことも多く、手間を掛けずにアンケート調査したいという場合もあります。

回答者の意欲に働きかける

回答者はどんな状況で、どう説明を受けて、どれくらい時間がかかるかによって、回答の意欲が変わります。例えば、急いでいるとき、自分に全く関係のないことを、長時間かけて回答させられれば、意欲は下がります。回答時間の目安としては10〜15分、項目数の上限としては50項目程度と言われます。ただ実際に自分が回答する立場で考えると、これでも結構長く感じ、「まだあるのか」と嫌になることがあります。

アンケートフォーム自体のデザインやレイアウトによっても、回答者の回答しやすさは変わります。

以上、アンケート法(質問紙法)の良さと限界について述べました。利便性の高い方法ですので、限界を理解しつつ、効果的に使っていきたいところです。

この記事は、今後も追記し、アップデートしていく予定です。