花火師アカギ(仮名) | 3 トラックの中のフィードバック

アカギさんに、花火師が花火を学ぶプロセスと、その中の負荷についてお話を伺いました。3回目も、花火の玉を「準備する→打ち上げる→省察する」プロセス です。そこから、たくさんのフィードバックを、設計や準備などのやったこととつなげる場面があることの重要性が、示されました。

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この3ヶ月で何発くらい上げたんですか?

発数?

ざっくりで構わないんですけど。

ある場所では2万発打ってた。あれくらいの大きさのが一夏何十箇所あるのかな?

少なくとも一箇所では2万発。

これ結構大きな場合。少ないところだと2千発とか。それを30箇所くらいやりますね。

これだけやってると、情報がすごく蓄積されていきそうですね。多くて2万、少なくて2千だと、例えば平均5千としたって、30箇所だと15万発打ってるんですよね。それだけフィードバックがあって、それをつなげることも大事ですね。

帰りのトラックの中で、あそこはこうやっときゃよかったなとか。

やったことと結果のリンクを、帰りのトラックの中で、その都度作っていく。

なんだありゃって。筒っぱねしちゃったって。

筒っぱね?

花火が筒で爆発したとき、上にあがらないのを筒っぱねっていう。ファイバーの筒だったりすると、下で花火が爆発しちゃって。普通は導火線に火がついて、上に行ってからあがるんですけど。何かの加減で、中に火が入っちゃうことがあるんですよ。そうすると直接そこでバーンって。

危ないですね。ここで火薬があって、バーンてなって打ち上げられる。導火線に火がついて、チリりりとなって、上でバーン。ところが、ここで直接バーン。

そういう時は、結局は加工の仕方がダメだったり。導火線に着火剤とかつけたりするんだけど、そういうときにカッターで切りすぎちゃったりとかすると、そうなる。

花火師さんは、そういうことを失敗を通して学んでいく。火薬ってどのくらい危ないんですか?

結構危ないですよ。鼻くそみたいなちっちゃい火薬が黒色火薬っていうんだけど、一つでピストルの弾が飛んでく。それが、3号で250gかな。一尺上げるんだったら、1キロまではいかないけど、700gくらいまでいくかな?

経験を重ねて、筒や土台の使い方がわかっていく部分がある。設計図は描いたりしないんですね。

配置の設計図と玉の組み合わせの設計図は作るんです。

組み合わせっていうのは筒と玉の?

じゃなくって、上がるイメージ図。こんな感じで上がりますって。角度とかの。

その設計図にもとづいて、実際に配置する。その配置は職人さんの感覚で。大きな地図はあって、現場でどうするかは現場で判断する。

職人さんが判断する。

2万発上げるような現場だと、職人さんは何人くらいいるんですか?

2万発だと、さすがに、一週間くらい準備する。だいたい10人くらいで。現場責任者もいる。

10人くらいで作業していく。組んでいく時間って、スケジュールよりも遅れるケースと、その通りに進むケースだと、どちらが多いですか?

打ち上げはだいたい19時とか20時なんですけど、15時くらいには終わるようにやっている。ただ、こんなに多くの箇所でやっていると、夏の終わり頃にはみんなバテバテなので、打ち上げ3分前に終わったとか、そういうことがよくあります。

3分前でも、進行は影響受けてない。

うん。遅らせちゃったら仕事が二度ともらえなくなる。

こういうときって思ったより遅れるじゃないですか。そのときって、どう遅れを取り戻していくんですか?

もう最悪の場合は、省く。

どんなことを省きます?

たとえば、5箇所で上がるものだとしたら、3箇所にしちゃうとか。

3箇所にしても大丈夫な部分を省く。

見え方。5箇所あったら豪華じゃないですか。それが3箇所になるとちょっと豪華じゃなくなるけど、まぁバランスは取れている。2と4を抜くわけですよ。

最低限、見え方に大きく影響しないようなところを抜く。他にも省く所はありますか?

省く気になりゃぁ、かなり。スターマインて聞いたことあります?あれが、20発上がるところを、10発にしたりとか。間引きする。悲しいけど。